使い回し

 特撮番組で使い回されつづける定番ネタのひとつに吸血鬼がある。暗闇から襲い来る、出血、鋭い牙など見事に統一された吸血鬼のイメージがどこにでも出てくる。

　古くから使い回されもはやおもしろくなりにくいネタだが多くの特撮スタッフの考えには吸血鬼やりたいという欲求があるのかもしれない。そんなに吸血鬼やりたいか。そんな吸血鬼が巻き起こす騒動を何度も見てきた。

　このつまらなくなりがちな鬼門を突破するにはやはり吸血鬼のキャラクターが重要だろうか。吸血鬼やる時点で物語はほぼ決まっているわけだから。

　そんな使い回されてきた古典を２週にも渡って挑戦したウルトラ怪奇シリーズ。吸血鬼のキャラクターは狼とコウモリ。見事にスタンダードな吸血鬼騒動。見応えがあったのは主役の吸血鬼ではなくおぞましい表情で襲い来る子役の女の子であった。あんなに普段かわいい女の子がここまでの形相を見せる。それがいちばん恐ろしい。